2016年04月01日

自動運転の責任は誰が負うのか?


今日は、プリベントという会社から送って頂いたメールから【自動運転の責任は誰が負うのか?】を紹介致します。





アメリカのグーグルを始め、世界中で様々な企業が自動運転の車を開発しようとしています。先日、グーグルの自動運転車が、公道上で初めて過失による事故を起こしたという報道がありました。

この事故によって、法的な責任はどのようになる可能性が高いのか、弁護士法人名古屋総合法律事務所の杉浦弁護士に解説してもらいました。

この記事が、皆さまや、皆さまのお知り合いの方のお役に立てれば幸いです。

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報道によるとグーグルの自動運転車は、人が乗っており、必要に応じて手動の運転に切り替えることができるタイプだったようですが、手動運転に切り替えず、バスと衝突してしまったようです。

この報道内容が正確であれば、この事故は、AI(人工知能)が判断して運転し、その結果起こってしまった事故ということになりそうです。

法的な責任として、大きく分けると、民事上の責任と刑事上の責任に分けることができます。

民事上の責任とは、損害が生じた場合の賠償責任、物を引き渡したり、明け渡したりする責任など、主に財産について、確定された権利義務に則って行う責任と言い換えてもいいかもしれません。

今回の事故であれば、壊れた車を修理する責任、けが人がいれば治療費や慰謝料を支払う責任が挙げられます。

こういったものは、運転者がAIでも、その自動車もしくはAIの所有者(今回の事故ではグーグルという会社)が負うことになると予想されます。

刑事的な責任とは、何らかの犯罪行為(過失を含む)を行った際に、それに対して身柄の拘束を受ける罰を受ける責任が一般的には想像されると思います。

刑事的な責任は、原則として、犯罪に該当する行為を行った者に科されることになります。

今回の事故では、AIが運転していましたが、AIを身柄拘束して罰を与えることはできません。かといって、車に乗っていた人は、ハンドル等に触っていたわけではないので、刑事上の過失があると言えるのでしょうか。

今回は、必要に応じて手動運転に切り替えられるようですので、必要に応じて手動運転に切り替える注意義務があったのに、それを怠った、という過失責任が想定されます。

しかし、今後、自動運転の性能が上がり、自動運転車であれば免許がなくても乗れるといった時代が来た場合には、果たして自動運転による事故に関して、乗っている人に刑事上の責任を問えるのか、そういった問題が出てくるのではないかと思われます。

他方で、自動運転の場合、罰したところで犯罪の抑止にはつながらないので、自動運転の事故については刑事上の責任を全く考慮しない、という方向に進む可能性もあるのではないかと思います。

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※人工知能が、これから活躍していく世の中になっていくと、思われます。

このような問題も、見過ごしたり目を背けたりできません。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
  


Posted by makishing at 06:37Comments(0)