2016年05月26日

三菱自動車に見る「経営理念とは、企業における『決断の軸』である」


今日は、決断力プロデューサーである、株式会社決断力の高島 徹氏によるメルマガ《大凧通信:号外》から【三菱自動車に見る「経営理念とは、企業における『決断の軸』である」】を紹介致します。





三菱自動車が、軽自動車の燃費試験の不正問題で大きく揺れています。
詳しくは、三菱自動車のHPにも掲載されています。
http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2016/news/detailg427.html


今日は、同社の問題行動と経営理念との関係につて、考えてみたいと思います。




〔経営理念とは、企業における「決断の軸」である〕


経営理念を掲げている企業は、たくさんあります。
経営理念は、創業者が事業を起こすにあたっての想いを掲げたもの。
社内に掲示したり、朝礼などで唱和したりして、従業員に広める企業も多いでしょう。
そして、従業員が経営上、仕事上で行動する時の、拠り所となるものです。
これを私は、「決断の軸」と申し上げております。


では、三菱グループと三菱自動車の経営理念について 見てみましょう。



・三菱グループの「三綱領」



所期奉公=期するところは社会への貢献
事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない
地球環境の維持にも貢献する。

処事光明=フェアープレイに徹する
公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。

立業貿易=グローバルな視野で
全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。


・三菱自動車の企業理念(2005年1月制定)

大切なお客様と社会のために、走る歓びと確かな安心を、こだわりをもって、
提供し続けます。


さすが三菱グループ!という、立派な経営理念ですね。



経営理念とは、作って終わり、掲げておしまいではありません。
実際の行動が伴ってこそ、本当に生きてくるものです。


今回の不正の背景には、燃費を巡る厳しい競争があったようです。
達成困難な目標と、なかなかうまくいかない現実とのはざまで、現場が追い詰められていたことは 想像に難くありません。
でも、だからと言って試験で不正をしていいわけではありませんし。
ここで踏みとどまるために、経営理念が拠り所となるのです。



売上や利益の目標達成、ライバルに勝つ、自分の処遇、処罰などなど。
ギリギリの状況で決断を迫られた時に、どうすればいいのか?
こうした従業員の迷いを吹っ切るには、経営理念に沿った行動を取ればいいのだと。
そうした社風、組織風土、人間関係ができていないと、経営理念は絵に描いた餅でしかありません。



そして、経営理念は企業における「決断の軸」になるだけではありません。
「お客様が集まる軸」にもなるのです。



三菱重工相談役・相川賢太郎氏が「誰も燃費なんて気にしていない」という放言もしたようですが、「それを言っちゃぁ おしまいよ」ですね。
http://news.livedoor.com/article/detail/11458841/
それならば、消費者は何を信用して車を選べばいいのでしょう?


「あの会社の経営理念は、立派だ」
「社長も従業員も、経営理念に沿った行動をしている」
「だったら、商品やサービスも間違いないものだろう」
「では、信用して買ってみよう、取引してみよう」
こうしてお客様が集まるのでは、ないでしょうか?
商品やサービスが間違いのないものであることが前提で、経営理念に沿った行動が、お客様の信頼と購買行動に結びつくのです。


今回の事件、とても残念に想います。
ギリギリの状況下の決断において、企業や個人のホンネがあらわれます。
立派な経営理念を掲げた大企業が、その実践ができていなかったこと。
15年前のリコール隠し問題の教訓が、活かされていなかったこと。



三菱自動車の株価は、この問題を受けて半値にまで下がりました。
世間が深刻に受け止めている、なによりの証拠ではないでしょうか。





※こうした問題は、何も三菱自動車だけに起こりうるとは、限りません。

追い込まれたり、しんどくなると、こうした形で逃避行してしまうのも、人間かもしれません。

厳しく受け止めたいと、思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
  


Posted by makishing at 07:46Comments(0)