2020年04月18日

競合他社が気づいていない課題を解決した筆記具 


今日は、いつも楽しく読ませて頂いているメルマガから【競合他社が気づいていない課題を解決した筆記具】を紹介致します。





【競合他社が気づいていない課題を解決した筆記具】


筆記具の中でもシャープペンシルは、色々な機能が搭載された新商品がたくさん出ます。

これに対して、ボールペンは、そこまで多くの新機能は、開発されません。

多くの企業では、新機能よりもボールペンの書き味を改善するためにインク自体を改良してきました。

今日は、ゼブラから発売されて注目されているボールペンを紹介したい、と思います。

その商品とは、2018年12月に発売された「ブレン」という商品です。

上述しましたように、従来、ボールペン業界では、インクに改良を重ねて新商品が登場してきました。

同社では、ボールペンの新商品の開発にあたり、インク以外の部分に改良の余地がないかどうかを調査することにしました。

開発担当者は世の中に発売されているボールペンを買い集めて、とにかく文字を書きまくりました。

担当者が文字を書き過ぎて感覚が麻痺し始めたときに、ふと筆記時の振動が気になることが分かりました。

そのとき、この筆記時の振動を抑えることができれば書き心地がよくなり、無意識のうちにかかっていたであろうストレスが軽減できるのではないか、と考えました。

そこで、同社では、振動を抑える機構の開発に着手し、以下の3つの新機能を搭載しました。


(a)中芯の先端を挟持する部品(インナー)を搭載し、ノックして書くときにペン内部のブレを防止

(b)金属製のおもりをグリップ内部に入れ、重心を下げることで筆記時のブレを防止

(c)各部のすき間をなくし、ペン内部のブレを防止


従来のボールペンは、先端部分にガタつきがあるため、筆記時に振動してしまうという課題がありました。

そこで、ブレンでは、上記(a)に示すようにインナーを搭載し、先端を挟み込んで振動を抑制することで書き心地を改善しました。

また、上記(b)に示すように、従来のボールペンには無かった「おもり」を先端部に搭載し、重心を下げることで振動を抑えました。

ゼブラは、これらの新機能を搭載した「ブレン」を2018年に発売を開始。

ユーザ自身も気づいていないような些細な点まで改善したことを分かりやすく伝える必要があっため、従来品との比較動画も作成しました。


<同社の商品詳細サイト>
https://www.zebra.co.jp/pro/blen/

※上記サイトにペン先振動比較動画が
ありますので、よろしければ、ご参照ください。


筆記時の振動は、ユーザー自身も気づかず、同業他社も盲点の課題でした。

他社も気づかないような課題を解決した独自性が高いブレンは発売と同時に話題になり、実際に使用したユーザーがSNSなどを使って拡散し、人気が広がりました。

特に、社会人の女性を中心に書き心地の良さが評判となり、発売1年で300万本以上売れたヒット商品となりました。

筆記具の業界は、機能的な差別化が難しくなっているとも言われていますが、そんな中でも、まだ他社が気づいていない課題を見つけた技術者の執念を感じる商品ではないか、と思います。





※普通では気づかない些細な所を改良し、ヒット商品にするお手本だと思います。

今日も、勉強になりました。ありがとうございました。  


Posted by makishing at 09:13Comments(0)