2017年06月06日

実例をもとに解説!損害賠償請求はできるの??


今日は、弁護士費用保険のプリベント少額短期保険が配信しているメルマガから【実例をもとに解説!損害賠償請求はできるの??】を紹介致します。





さて、今回は、昨今世間を賑わせた不倫報道を題材に解説していただきます。トラブルによって、法的責任はどのようになる可能性が高いのかを解説いただきました。


◆損害賠償請求はできるの??◆


昨今、某週刊誌のスクープによる不倫報道が過熱し、LINE流出で一時的に芸能活動を自粛する方等もおり、当事者は戦々恐々のことと思います。

さて、今回はこのような不倫の場合に、某既婚男性ミュージシャンXと某独身女性芸能人Yを登場人物として、YがXに対して「離婚するといって騙された!」と怒って損害賠償請求ができるか、という視点でお話したいと思います。
 
 男性ミュージシャンの奥さんであるAさんが、不倫関係にあったXとYに損害賠償請求できることは、皆さんご承知のことと思います。
 では、例えば「妻とはもう終わっている」とか「妻とは離婚調停中である」等の嘘を言って、さらにYをXの実家などにも連れて行く等していた場合、YがXに対して損害賠償請求(貞操侵害や婚約不履行等)をすることはできるでしょうか?
YはXが既婚者だと知っていた(不倫関係と認識していた)ことは問題となりそうですね。

 実は、このようなトラブル類型は古くからあり、裁判例も結構あります。
 この点、一時期の判例では、「配偶者のある男子と情交関係を結ぶことは、・・公の秩序善良の風俗に反する行為であり、・・保護を与えるべきではない」として、ここでいうYのXに対する損害賠償請求を否定しており、平たくいうと、自ら法に反する行為をした者は法の保護を求められないとの考えがありました。

 これに対しては「だまされたYが可哀想!」とか「Xがゲスすぎる!」という意見も反面であるかもしれませんが、安心ください。裁判所もちゃんとわかっています。
その後の裁判例では「男性側の情交関係を結んだ動機、その詐言の内容程度、およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し」その不倫関係の発端が男性側にあるか女性側にあるかを判断し、男性側の違法性が著しく大きいと評価される時には、女性の男性への慰謝料請求を認めています。
かなり乱暴に約すと、Xの言動がどれだけ「ゲス」だったか、と、それを信じたYがどれだけ安易だったか、との比較ということになります。
 
 既婚男性が「妻とは別れようと思っている」等の甘言を用いて独身女性の気をひこうとすることは、ある程度社会経験のある女性であればママある事として理解していると思いますので、その程度(というと怒られそうですが)であれば男性は責任を負わないケースが殆どだと思います。
しかし、それを超えて、「実家に連れて行く」等の女性に結婚を強く意識させる行為まですると、裁判例の基準でも、女性の貞操権等の侵害となりそうです。某既婚男性ミュージシャンXはかなり黒よりのグレーで、某女性芸能人Yが損害賠償請求できる可能性も十分あると思います。
ただ、実際の裁判は細かい事情や証拠をどれだけ準備できるか次第ですので、当事者の皆さんは「責任を負う可能性がある」ないしは「損害賠償請求できるかも」という程度の認識で(当然、不倫を推奨するものではございません)。





※こうした類いの揉め事、ややこしいですね。

あらゆる争い事を、受け止めて解決に向けて尽力してくださる、弁護士という職は、素晴らしいです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。



Posted by makishing at 08:13│Comments(0)
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