2019年04月26日

「長所見いだす『天才』」小出義雄さん


今日は、4月25日読売新聞スポーツ面、評伝より【「長所見いだす『天才』」小出義雄さん】を紹介致します。





小出さんは、人を褒める天才だった。指導の基本は「褒めて伸ばす」。本人も気づかないような長所を見つけるのが得意だった。

2000年シドニー五輪金メダルの高橋は、大阪学院大時代から、胸の前で小刻みにかかえる自分の腕の振り方がおかしいと悩んでいた。だが、小出さんは「それでいいんだよ」と自信を持たせた。それが、誰よりも速い腕の振りを生み出すことにつながった。

1992年バルセロナ、96年アトランタ五輪で連続メダルの有森、97年世界選手権金メダルの鈴木、そして高橋。世界的なマラソンランナーを同時期に次々と育て上げた。一人のランナーに集中してしまう女子の指導者が多かった中で、その指導力は傑出していた。

人の心をつかむのがうまかった。初めて名刺交換した記者にも、人なつっこい笑顔で、何度も名前を呼びかける。

選手の努力を称賛するが、自らの苦労話はしなかった。「かけっこが好きだから」が、口ぐせだった。

そんな小出さんが一度だけ「苦労」を口にした。シドニーで高橋がゴールに飛び込んだ直後だ。スタジアムに遅れて到着した小出さんは、泣き笑いの顔で、高橋の姿を必死に探していた。「女子の指導を一から勉強して、ついにここまできた。大変だったんだ」。独り言に近い、つぶやきだった。

金メダルに至る道は、困難の連続だったのだろう。人を褒めてばかりいた人が、思わず自分を褒めた瞬間だった。





※残念です。また一人、名監督を失いました。

ご冥福をお祈り致します。



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